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そらいの日記

自分のことを中心に色々と話します。

ヒトクイという漫画が怖いという話

言い換えるとヒトクイ、物語としては面白いけどやり切れない気持ちが積もるという話です。

 

ヒトクイのあらすじを簡潔に言うと
社会でストレスを抱えた人→ある日突然ヒトクイとなってしまい、ヒトクイの空腹感と社会でのストレスから絶対に誰にもわからない方法で人を喰うことで空腹とストレス解消→ヒトクイはより強い喰人である前作主人公に喰われ死亡
というのを今の所繰り返して真相や大きな問題を解決していこうとする物語です。

 

やり切れなく思った理由をいくつか。
・ストレスを抱えてしまった人間が悪いのか
・誰にもわからない環境を手に入れた人が人を殺してしまうことは悪なのか
・そもそも現実社会で受けたストレスは何も昇華されていない


重ねていうけど物語としては凄く好きで、もやっとするポイントを個人的に言いたいだけ。

 

・ストレスを抱えた人間が悪いのか
ストレスを抱えることは誰しもあるし、それ自体は悪いことじゃない。だが、ヒトクイとなった人はストレスの根元から逃げず、努力せず、ただ内に籠る。
となると、ヒトクイはそういった努力出来ない人の隠喩なのだろうか。その解釈だと、努力出来ない人=ヒトクイとなる。ヒトクイが脳疾患だと言われる所以もここにあるのかな?

 

・誰にもわからない環境を手に入れた人が人を殺してしまうことは悪なのか
これはそもそも人間の持つ弱さとしてあるのではないだろうか。ともすれば人を殺してしまいそうになる弱さ(=ヒトクイの空腹)が、ヒトクイという病気で環境を整えた(社会からの断絶、空腹感)結果発露しただけなのだ。私も、現実の貴方もヒトクイになったらこの漫画で描かれたヒトクイと同じようになってしまうだろう。そして、実際にヒトクイにならなかったとしても似たような人になってしまう人もいるという事を言いたいのではないだろうか。

 

・そもそも現実世界で受けたストレスは何も昇華されていない
私はこの点を最も主張したい。
さっきも言ったが、私達の生きている世界は幸運にもヒトクイという脳疾患は無いが、それに準じた人がいることは確かだろう。
人は他人がいないと人になれない以上、自分の信じている正しさもまた相対的な物でしかない。ならば、環境や社会が違えば私もまた現実世界でヒトクイと呼ばれるに相応しい存在になるだろう。だから、今いる社会でヒトクイにならない為にどうすれば良いかと考える。
先述のとおり、ヒトクイは社会の中で様々なストレスを受ける。そこにストレスを解消できる場所が現れ、ヒトクイは人を喰ってしまう。
そこで私達が現実社会でヒトクイにならない為には、ストレスの解消方法をもっと適切にすれば良いのではと考える。
しかしそこへ喰人である前作主人公が現れ、ヒトクイは悪だからと喰ってしまう。


この物語では私達が感情移入するのはただヒトクイという脳疾患にいつかかるか(=現実世界では殺人衝動に耐えられなくなるか)怯える一般人なのだ。しかしなってしまったらもう普通の人間には戻れず、罪を重ねながら殺されるのを待つしかないのだ。

 

とかく、ヒトクイは救われないのだ。だから私はこの物語にもやもやとしてしまう。

 

‪追記として、前作主人公の行いが悪だとは思わない。‬


ヒトクイの解釈として「もしかしたら私達がなってしまうかもしれない」を先ほど述べたが、「壊れた人間」という解釈のしかたもある。‬
‪後者の解釈ならば、前作主人公は壊れて罪を重ねるしかない可哀想な人を殺してあげる優しくて正しい前作主人公だからだ。‬
ただ、この解釈の酷いところとしては「壊れた人間」の定義は「壊れていないと思っている人間」によって相対的になされ、「壊れた人間」は壊れているから「壊れていない人間」によって殺される。完全なる優生思想になってしまうところだ。
この解釈を進めると、現実世界で脳疾患や精神疾患を抱え程度の差はあれど他人に迷惑をかけて生きている人達が、漫画の世界のヒトクイの定義に当てはまってしまうように感じるのだ。

ヒトクイは治らないから殺される。ならば、現実社会の治らない人は?となってしまう。
普通の人だって他人に迷惑をかけ、動植物を殺しながら生きているのにも関わらず、だ。

となると、前作主人公の立ち位置は優しくて正しいではなく、「壊れていない人間の代表として壊れた人間を壊す人」になってしまう。
しかも、前作主人公はヒトクイに大切な人を殺されたからヒトクイを殺していた。自分のエゴに突き動かされているのだ。
だから、私はこの前作主人公が悪だとは言えないが、正義だとは絶対に言いたくないのです。

 

こんな風に色々と考えることができ、かつ漫画としてとても読みやすいので、もしも興味があれば読んでみてほしいと思います。

そして物語の筋を追いながら、何故この人達は殺されるのか。現実で何に当てはまるのか考えながら読むとより一層楽しめると思います。